Hyper-Vを実際に使ってみよう
Hyper-V 上でのフェールオーバクラスタの作成 (2)
マスターイメージの作成
今回の環境では、Hyper-V 内で Win2008DS、Win2008N1、Win2008N2 の3台のWindows Server 2008を作成します。それぞれを新規に作成してもよいのですが、OS インストール直後の状態をマスターディスクとして利用し、3台のサーバを効率良く作成する方法がありますので、その紹介をしたいと思います。
マスタイメージの作成は以下の手順となります。
- Hyper-V マネージャを起動する
- 右ペインにある「新規」をクリックし「仮想マシン」を選択する
- 名前を「Win2008EntMaster」とする
- メモリは Windows Server 2008 の最小システム要件である 512MB とする
- ネットワークの構成は「接続しない」を選択する
- 仮想ハードディスクの容量は推奨システム要件である 40GB とする
- インストールオプションは、「ブート CD/DVD-ROM から…」を選択し、メディアの場合は挿入したドライブを、ISO イメージの場合はそのパスを指定する
- 「作成後に仮想マシンを起動する」を選択し「完了」をクリックする
- 仮想マシン接続が起動するので、そのまま Windows Server 2008 Enterprise をインストールする
- Administrator でログオンし、仮想マシン接続のメニューにおいて「操作」-「統合サービス セットアップ ディスクの挿入」を選択する
- 自動再生機能によりダイアログが表示されるので「Install Hyper-V Integration Services」を選択する
- インストールが完了すると再起動を要求されるので再起動を実施する
- Administrator でログオンする
- %Windir%\System32\sysprep\sysprep を実行する
- (図xx sysprep) のように「システムの OOBE (Out-of-Box Experience) に入る」を選択し、「一般化する」にチェックをつけ、「終了」を選択し、「OK」をクリックする
- 仮想サーバのシャットダウンを実施する
- シャットダウンが完了後、Hyper-V マネージャの中央ペインで先ほど作業した「Win2008ENtMaster」を選択し、右クリックメニューの「削除」を選択する
- 削除確認のメッセージが表示されるので「削除」をクリックする(※2)
- Hyper-V のディスクイメージが格納されているパス(※3)をエクスプローラで開き、Win2008EntMaster.vhd に対して読み取り専用の属性を設定する
※1 Sysprep の実行時に「終了」ではなく「シャットダウン」を選択するのが一般的ですが、シャットダウンではなく再起動されることがあったため、Sysprep
の「終了」を選択したうえでシャットダウンの操作を実施しています
※2 この操作を実行しても、仮想サーバの設定情報が削除されるだけで仮想ディスクファイルが削除されるわけではありません
※3 既定では %SystemDrive%\Users\Public\Documents\Hyper-V\Virtual Hard Disks
となっています
以上の操作により、Windows Server 2008 Enterprise のマスタイメージの作成が完了です。なお、手順 17
からの操作は作成したマスタイメージを誤って更新しないための操作となっています。
なお、sysprep を実行する前に、リモートデスクトップなどを各サーバに共通の設定がある場合はその設定をしておくことで、各サーバで個別に設定する必要がなくなります。
ドメインコントローラの作成
フェールオーバクラスタリングを利用するためにはドメイン環境が必須となっています。そのため、今回は以下の手順により作成したマスタイメージからドメインコントローラとなるサーバを作成します。
- Hyper-V マネージャを起動する
- 右ペインにある「新規」をクリックし「ハード ディスク」を選択する
- ディスクの種類の選択で「差分」を選択する
- 仮想ハードディスクの名前(今回は Win2008DC.vhd)を入力する
- ディスクの構成で、差分ディスクの親ディスクとして、作成したマスタイメージ(Win2008EntMaster.vhd)を指定する (図xx)
ドメインコントローラの仮想ディスクが作成できたので、引き続きドメインコントローラになる仮想サーバを作成します。
- Hyper-V マネージャを起動する
- 右ペインにある「新規」をクリックし「仮想マシン」を選択する
- 名前を「Win2008DC」とする (図xx)
- メモリは Windows Server 2008 の最小システム要件である 512MB とする
- ネットワークの構成は「外部NW」を選択する
- 仮想ハード ディスクの接続で、「既存の仮想ハードディスクを使用する」を選択し Win2008DC.vhd を指定する
- 「作成後に仮想マシンを起動する」を選択し「完了」をクリックする
- 仮想マシン接続が起動し、しばらくすると Windows セットアップ ウィザードが起動する
- セットアップ ウィザードの途中で、コンピュータ名を入力する箇所があるのでコンピュータ名に「Win2008DC」と入力する
- しばらくすると Administrator のパスワードの変更画面となるので、パスワード変更する
以上でドメインコントローラとなるサーバの準備が完了となります。この手順により、通常のセットアップ時間よりも短く、また、差分ディスクの機能により必要なディスク容量も少なっています。(この時点での差分ディスクの容量は約 450MB)
次に、ネットワークの設定を行います。ドメインコントローラのネットワークの設定は以下のようになります。
IP アドレス: 192.168.25.19
サブネットマスク: 255.255.255.0
DNS: 127.0.0.1
なお、今回は IPv6 の機能は使いませんので、IPv6 のチェックは外しておいても構いません。
引き続き、ドメインコントローラの役割を追加しますが、ここでは、応答ファイルを使った手順を示したいと思います。今回作成するドメインの構成は以下のようにするとします。
フォレストルートドメインの FQDN : admintech.local
ドメイン NetBIOS名 : ADMINTECH
フォレストの機能レベル : Windows 2008
ドメインの機能レベル : Windows 2008
これ以外の設定は既定のものを利用するとした場合、図 xx のような応答ファイルを事前に作成します。
(図 xx : 応答ファイル例)
この応答ファイルは dcpromo を起動し詳細モードで実行すると最後の操作の直前に設定ファイルをエクスポートすることができます。なお、パスワードに関する情報は空白となっているのでファイルに追記する必要があります。
応答ファイルが用意できたら、以下のコマンドを実行します。
dcpromo /unattend:admintech.txt
設定や応答ファイルに問題がなければ自動的に再起動(※)されるので、ログオン後にイベントログなどを参照しエラー等が発生していないかを確認します。また、応答ファイル内に記載されているパスワード関連の情報は一度実行すると削除されるため、再実行したい場合は、パスワード部分を再入力する必要があります。
以上で、ドメインコントローラの作成が完了となります。
(※ 自動的に再起動すると困る場合は、応答ファイルの最後の行の「RebootOnCompletion=Yes」の部分を No に変更し、行頭のセミコロンを削除することで、再起動を抑止することができます)
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- Hyper-Vのセットアップ
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Hyper-V 上でのフェールオーバクラスタの作成 (1)
- はじめに
- 仮想ネットワークの準備
- Hyper-V 上でのフェールオーバクラスタの作成 (2)
- マスターイメージの作成
- ドメインコントローラの作成
- Hyper-V 上でのフェールオーバクラスタの作成 (3)
- ノード1、ノード2の作成
- Hyper-V 上でのフェールオーバクラスタの作成 (4)
- iSCSI ターゲットの設定
- iSCSI イニシエータの設定
- Hyper-V 上でのフェールオーバクラスタの作成 (5)
- フェールオーバクラスタリングの構築
- 各種設定の確認
- ファイル共有のリソース作成
- フェールオーバの動作確認
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